1.当事者の話し合いによる解決(境界確定測量) |
境界問題が起こった場合、土地家屋調査士の収集した資料をもとに当事者同士の話し合いで解決ができればそれが最も良い方法です。 |
2.境界ADRによる解決 |
境界紛争がある時、土地家屋調査士は所有権界についての調停をすることが法律上できません。また、あいだに入った土地家屋調査士や弁護士が片方の当事者に雇われている場合は もう一方の当事者が調査士や弁護士に信頼を持てないことがあります。その点、境界ADRの調停委員は筆界・所有権界の両面から調停を行えますし、 調停費用は両方の当事者が払うので、仲裁人との間に信頼関係を築きやすいと言うメリットがあります。 |
境界ADRで問題を解決するには、まず当事者全員が調停のテーブルにつく必要がありますが、当事者全員に境界問題を解決したいという意志があるならば優れた解決方法となり得ます。 |
3.筆界特定制度による解決 |
境界紛争当事者のひとりが話し合いに応じてくれない場合でも、筆界特定制度の申請は一方の土地の所有者等だけですることができます。 |
また、隣地の土地所有者が測量のための立ち入りを拒否している時でも、筆界調査委員の立ち入り権限が認められています(不登法137条)。境界問題に協力的でない 相手がいるときは有力な解決方法となり得ます。 |
この制度で特定された筆界をもとに分筆などの登記を申請することができるので、隣地が筆界確定に協力してくれないために分筆ができない場合(よくあります)の問題解決にも 使えるでしょう。 ただし、所有権界を定めるものではないので、土地の一部分の帰属を巡る争いには向かないこともあります。 |
なお、筆界特定書は相続税の物納申請に必要となる"境界確認書"として使用することはできません。 |
4.訴訟による解決 |
筆界を確定するための訴訟を境界確定訴訟、所有権界を確定するための訴訟を所有権確認訴訟といいます。いずれにしても訴訟によって判決が出るまでに 通常2年程度の時間と100万円を超える費用がかかります。また、訴訟で勝ったとしても隣人との間にしこりが残ることも多いでしょう。 ただし、境界確定訴訟の判決がなされれば筆界はそこで確定します。また、所有権確認訴訟で所有権界と筆界に差違があるという判決が出れば、判決に従った所有権移転登記を 申請することができます。 |
最近になって利用できるようになった、境界ADRと筆界特定制度のどちらが良いかはケースによって変わりますが、どちらも有力な境界問題解決方法となり得ます。 これまで解決できなかった境界問題を抱えておられる方は検討してはいかがでしょうか? |
日常生活を快適に過ごすためには、様々な生活環境が整っていなければなりま
せん。とりわけお隣との楽しいつきあいは最も大切な条件といえます。
ところで隣人とのつきあいが、境界のトラブルがもとで仲違いしていることも世間に
はたくさんあります。境界はトラブルのない平常の時に確認しておきたいものです。
境界問題は、お互いに相手を尊重しあうことにより理解し解決できるものです。
土地家屋調査士はその道の専門家です。例えば病気のときは、すぐに医者のと
ころへ行くように境界問題や不動産の登記のことでお悩みのときは、迷わずお近く
の土地家屋調査士にご相談ください。